症例のご紹介20
80代 女性
詳細
こちらの方は、ご家族の紹介でご近所から11年前に来院されました。
長く保険の入れ歯を使っておられましたが、合わない、噛めない、痛いということからしっかり噛める入れ歯の治療を希望されました。
当院では当時から20年、30年長持ちする精密鋳造床義歯に取り組んでいましたので、下顎の奥歯がないところには、精密鋳造床(白金加金)を選んでみました。耐久性、痛みの出にくい白金の素材は、適度なしなりと粘りがあり、金属ではありますが生体親和性もよく、身体に優しい入れ歯になります。右と左で奥歯に2つの小さい入れ歯にすることも可能ではありますが、非常に大きな力がかかる場所ですので、咬合に長く耐えられないため、両側に跨る一つの入れ歯形態としました。結果として、よく噛めることはもちろんのこと、痛みも出にくく、隣接する歯を痛めないことが大きな利点となります。
10年以上経過した現在も定期的にメンテナンスに来院されており、途中で人工歯が摩耗したためメタルティース(金属の人工歯)への置き換え、ピンクの床の部分もリベース修理(プラスティックを流し込み、歯肉に密着させる修理方法)を行いました。入れ歯は、時間が経過することで土手となる歯肉が多少下がることで、隙間が生じることがあります。そのためリベースは有効な修理方法となります。最近は、小さい審美義歯(ノンクラスプデンチャー)の中には、このリベースができない素材のものや、海外で製作されており品質が安定しない入れ歯もあるようで、当院の入れ歯相談に来られる方も増えてきたように思います。それ以外は、これまで大きな修理もありません。
当院の精密鋳造床義歯が長持ちするポイントの一つは、鉤歯(コウシ:維持装置のかかっている歯)の設計の工夫にあります。こちらのケースでは、鉤歯もむし歯がありましたので、被せ物のセラミックを義歯にかかる力を受けとめるための形状に最適化しています。この装置の形状や配置により、力が偏らないことが設計の要になります。加えて素材を拘ったゴールドにしていることも快適に長持ちすることに貢献しています。その他の歯の維持管理のために、歯周病から治療を行い、現在は上手にお口の健康状態をコントロールできているので、あと20年以上は使えそうです。こちらの方は、健康意識も高く、当院のミネラルバランス-リアルタイム検査も行っています。この検査結果より、不足しているミネラルを補完するための食材選びや献立に無理なく取り込めるアドバイスをさせて頂きました。義歯(入れ歯)を使用する方は、食生活に偏りが出て来ることも少くないため、入れ歯だけの治療だけではなく、しっかり噛めて、食事からもより健康になって頂くための総合的な診療を心がけています。
※写真の右上1番目にノンクラスプデンチャーが装着されています
経過の写真
治療個所 | 下顎 左下 6右下567 精密鋳造床(白金加金) |
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治療期間 | 右上:約1.5ヵ月(4回の通院) |
治療費用 | 約40万円 |
副作用とリスク | 上下の入れ歯のため十分になれるまでに時間がかる場合があります。 |