ガルバニー電流測定検査
当院では全人的歯科医療(ホリスティック)の観点から、全身の健康の中の一部として歯科治療をとらえ、一人ひとりにとって長期的に安全、安心の診療を心がけています。その一環として、様々な観点から、トータルに歯科疾患の治癒、全身の健康をサポートしていくことができるようにしています。その一つが、このガルバニー電流測定器による簡易金属アレルギー検査です。口腔内には、電解質液となる唾液が存在するため、異なる種類の金属が装着されることにより、ガルバニー電流と言われる微弱電流が流れます。専門用語でガルバニック電流と言いますが、皆さんの中にご経験のある方もいらっしゃるかともしれません。金属のスプーンやアルミホイルを噛んだ時に「キーン」となったことはないでしょうか。アルミで包んだおにぎりを食べる時になることもあるでしょう。これは、お口の中に入っている金属の詰め物、被せ物と異質のアルミという金属の間に微弱な電流が流れた時に起きる症状です。これが、体に悪影響を及ぼすことがあります。自律神経のバランスを崩して様々な症状を引き起こす可能性があります。また、金属がイオン化し溶解していることを示すものになり、金属アレルギーのような症状を生じさせることになったり、有害金属として体内に蓄積して健康を損ねる原因になったりすることがあります。
- 扁平苔癬(へんぺいたいせん)
- 歯周炎
- 口内炎
- 舌炎
- 掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)
- 接触性皮膚炎
- 皮膚の湿疹(かゆみなど)
- 自律神経系の不定愁訴
- 自己免疫性水泡症
などがあります。
あじき歯科医院でも、このよう疾患が懸念されるケースが多々あます。
- アマルガム
- パラジウム
- ニッケルクロム
- 銀
電流を発生させている歯科治療の詰め物、被せ物の金属は24時間、365日に体に接しているものですので微弱な電流でも、蓄積された影響が心配されます。基準値の10倍以上の電流が流れている場合もあります。ガルバニー電流測定検査は、手軽に数分で痛みも負荷もなく受けられるものです。
思い当たる方は、お気軽にご相談下さい。 また、有害金属の体内蓄積状態は「有害金属・ミネラルバランス検査」、「金属アレルギーの確定診断」は血液検査を実施することで判断できます。
なぜお口の中の金属が良くないのでしょうか
元々の白い天然歯が一番であることは言うまでもありません。どうしても修復しなければならないむし歯治療であれば、当然見た目も白い自然感のあるものが望まれます。しかし、実は見た目の問題以外にも、お口の中に金属があることで次のようなリスクを含んでいます。
① 金属アレルギー
一部の方は金属アレルギーを持っており、口腔内に金属を装着するとアレルギー反応を引き起こす可能性があります。これは、金属イオンが唾液と反応して体内に吸収されることが原因です。アレルギー症状には、口内炎や歯茎の腫れ、皮膚炎などが含まれます。また全身的な疾患においても金属アレルギーが原因と疑われるケースの報告もあります。
② ガルバニック電流
先に紹介した、ガルバニック電流です。
口腔内に異なる種類の金属が存在する場合、唾液が電解質となり、その電位差によって微弱な電流(ガルバニック電流)が発生することになります。。これが原因で、金属の電気的腐食が更に進行しやすくなり、口腔内組織の異常、不快感や金属味、アレルギー様症状を引き起こすことがあります。
③ 金属の腐食
口腔内は常に湿潤な環境であり、食事や飲み物の酸や塩分によっても金属が腐食しやすくなります。腐食した金属は、金属イオンを放出し、周囲の組織、歯茎などにも悪影響を与えることがあります。
④ 健康への影響
金属が腐食して放出された金属イオンが体内に吸収されると、全身の健康に悪影響を及ぼす可能性があります。特に、長期間にわたって金属が口腔内に存在する場合、その影響は蓄積されることがあります。例えば、ニッケルや水銀などの金属は、長期間にわたり健康を害するリスクを高めることが報告されています。
⑤ 生体適合性の問題
生体適合性とは身体の組織や器官と相性がよく、異物・拒絶反応などをないことを指します。すべての金属が人体にとって無害であるわけではありません。一部の金属は、生体適合性が低く、長期的ま使用には適さない場合があります。特に、口腔内というデリケートな環境では、素材の選定が重要です。
これらの理由から、メタルフリー治療が注目されており、健康リスクを低減しつつ、審美的にも優れた治療法として推奨されています。
メタルフリー治療のすすめ
現在は、歯の修復物はこれまでの金属ではなく、セラミックやジルコニア(人工ダイヤ)、強化プラスティックなどが主流になって来ています。最近ではCADCAMといった強化プラスティックの白い歯が健康保険適用になっており、審美的な面と健康への配慮がされているようです。但し耐久性や安定性という面ではまだまだ問題が多いのも実態です。
当院ではメタルフリー治療をご提案しています。メタルフリー治療は、金属を使用しない歯科治療のことを指しますが。これにより、審美性や健康面で多くの利点がありますので、以下にそのメリットとデメリットを整理してみます。
>>メリット
① 審美性
メタルフリー治療では、セラミックやジルコニアなどの素材を使用します。これらの素材は天然の歯に近い色合いを持ち、見た目が自然で美しい口元を再現してくれます。
② アレルギーの回避
金属アレルギーを持つ患者さんにとって、メタルフリー治療はとても重要になります。金属を使わないことで、アレルギー反応を避けることができます。
金属アレルギーがない方でも、その心配が排除できるという意味で希望される方が多いです。
③ 生体適合性
先述した身体との相性です。セラミックやジルコニアは生体適合性が高く、お口の中で長期使用にも耐えることができます。これにより、治療後のトラブルを減らすことが期待できます。
>>デメリット
① 強度、耐久性
一部のメタルフリー素材は、金属に比べて強度が劣る場合があります。特に奥歯などの咬合力が強くかかる部分では、素材選びに慎重さが求められます。
当院で一番多く使用しているジルコニアセラミックは、人工ダイヤと呼ばれ、その強度はお墨付きです。単純に硬いものが良いのではなく、その方のお口の噛み合わせや噛み癖、部位を考慮した形成(むし歯を削る治療)、素材の選定、調整、メンテナンスが重要になります。
② コスト
メタルフリー治療は、従来の金属を使った治療よりも費用が高くなることが一般的です。これは、保険適用されない一番良いとされる素材や高度な技術を使用することとなるので、やむを得ないことでしょう。一部、保険適用の強化プラスティックのものを使用するとコストが抑えられますが、耐久性に不安があります。
③ 歯科医師の技術の差
メタルフリー治療には、高度な技術と経験が必要です。そのため、熟練した歯科医師、これを製作する歯科技工士であることが重要になります。